VISIONS

ビジョンと育成方針

Ⅰ/展示会業界の現状

建築やインテリアデザインの業界に比べて、同じ空間デザインであっても、展示会ブースデザインは社会的にかなり認知度の低い職種です。確かに、デザイン界の中でもほぼ注目度もなく、ブースデザインという職種を教えている学校もありません。しかし、だからこそこの先の可能性が大いにある職種と言えるかもしれません。展示会ブースデザインという仕事は、店舗よりもスピードの速いデザインで、そのことから次から次へと案件が出てくるという特徴を持ちます。このことは、言い換えれば「デザインしてすぐに結果が出る」ということを意味しています。この「すぐに結果が出る」ということが展示会デザインの魅力です。成功できるデザインを提供できるようになると、毎週のようにお客様(出展社)が喜び、感謝される状況に出会えます。そのためには、日頃どのように活動するかが重要ですが、当社では、このように「毎回、お客様に喜んでいただく」場面に出会える状況を作り出しています。展示会業界に初めて関わる方だけでなく、これまで展示会に関わってこらえた方も、是非今一度展示会業界の特徴について考えてみてください。


 1. 社会的な認知度の低い展示会業界

本項を読まれている方の多くは既に展示会業界で仕事を経験されている方かもしれません。一方で、建築・インテリアを学んでいる学生さんや、現在は建築設計やインテリアデザインに携わっていて、これからの就職先として展示会デザインに興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。ここでは、展示会業界について少しお話しておきましょう。展示会業界は社会的には認知度が低い業界ではありますが、実際には毎週のように東京ビッグサイト・幕張メッセ・パシフィコ横浜・インテックス大阪などで展示会は開催されています。1つの展示会では、数百から数千のブースがあり、出展した企業の数だけブースが存在します。そのブースをデザインしているのは、多くの場合「設営会社」や「代理店」に所属しているデザイナーとなります。このような展示会業界のデザイナーはどんな経緯でその職に就いているのでしょうか。多くの場合、展示会業界のデザイナーは建築やインテリアデザインを学んだ学生が就職したり、グラフィック等の2次元のデザインを学んだ方が携わったりしています。ただし、展示会ブースデザインについて明確に教えている学校が現在の日本にはほとんど存在しないために、多くの展示会系デザイナーがたまたま知り合いからその会社を紹介されたり、グラフィックデザインなどを学んだ学生が「広告業界」に入るような流れで展示会業界に入り、そのまま3次元のデザインを行うようになった、という例もあります。
空間デザイナーとしての展示会ブースデザインという仕事はまだまだこれから認知度を拡大していかなければいけない仕事なのです。
 

2.展示会ブースデザインという仕事

同じ空間デザインでありながら、展示会ブースデザインの業務は建築設計やインテリアデザイン業務に比べて、「技術力」的には比較的簡単で、これまで建築設計・インテリアデザインに携わってきた人であるなら、拍子抜けするほどに簡単な図面で業務をこなせてしまいます。具体的にいうなれば、展示会ブースを製作するための図面は、建築設計でいうところの「一般図」レベル。当社は業界の中でもかなり詳しく図面を描く方ですが、それでも矩計図のような細かな図面はほぼ描くことはありません。ですので、空間デザインの中でも、展示会ブースデザインは比較的未経験者が参入しやすい分野だと言えます。
一方で、展示会はほぼ1日でブースを作り、3日間の会期の後、撤去を行うという特徴上、とてもスピード感が早く、多くの物件を同時並行で進める、という特徴があります。同時進行で10件近くを一人で抱える、ということも日常です。また、3日間の会期の後に撤去をしてしまうので、自身がデザインしたブースを「作品」として残しておきたい、というアーティスト気質のデザイナーにとっては物足りない、と感じる職種かもしれません。
このような特徴上、展示会ブースデザインという仕事は、デザインの目標を自身の作品ではなく、お客様に喜んでもらうこと、次々に新しいブースを作る自体意義を見出すような方が向いている職種、と言えます。1つの空間デザインを数年かけてじっくりと作り上げる、ということが好きな方にはまず向いておらず、「新しい空間をどんどん作ってみたい」という方には最適な職場、と言えるでしょう。